むらた部長のマネジメント実践塾&公務員ドラマ「伴沢直稀」

ブログランキング1位獲得!【公務員ドラマ・伴沢直稀】&異色のキャリアでマネジメントを語ります

第2話 天赦日(てんしゃにち)に消えた婚姻届④「結婚詐欺」【公務員ドラマ 伴沢直稀~俺たち就職氷河期入庁組~】

 初めての方は第1話①からお読みください

 

 

 

「実は・・・、彼と連絡が取れないんです」

 

「え?」

伴沢は絶句した。どんな罵声を浴びせられるかと覚悟してダイヤルしたのだが。

 

「電話にも出ないし、LINEの既読もつかないんです」

「・・・いつからですか?」

「・・・婚姻届を出したあとからずっと連絡が取れないんです」

幸福の絶頂から叩き落されたのだろう。情緒不安定になるのも無理はないな。伴沢は心から同情した。

もしかしたらスマホを落とした・・・?

落としたとしても、会って話せばいいだけだ。

 

嫌な予感。

 

 

 

電話口から嗚咽が漏れる。

罵声とはまた違う、聞くに堪えない嗚咽。

 

 

 

伴沢の用事は済んでいるのだが・・・、言葉を発することもできず、電話を切ることもできず、ただ、聞くに堪えない嗚咽を聞くしかなかった。

 

しばらく、沈黙。

 

 

気が付くと、美香と丸井が心配そうに伴沢を見ていた。

指で〇を作って『ダイジョウブ』の合図を送る。

全く根拠のないダイジョウブだが。

 

 

「来週、結婚式だったんです・・・。どうすれば・・・?」

 

市役所が答える内容の質問ではないが・・・

「・・・残念ですが、キャンセルするしかないのでは・・・」

申し訳なさそうに返事。

 

「・・・元々、予約はしてなかったみたいなんです。さっき、式場に電話して知りました・・・。」

 

 

結婚式を挙げる予定なのに予約はしていない?

混乱する伴沢。

 

「どういうことですか?」

 

「騙されたのかな・・・、私」

 

荒木麻沙美が絞り出すような声で言う。

 

式場には二人で下見に行っただけで、その後のやりとりは彼に任せきりだったと言う。

彼女はその間、海外で仕事をしていたようだ。

結婚費用も彼の口座に振り込んでしまったと言う。

 

騙された・・・だと?

 

「すみません。力になることが出来ず・・・」

夜間窓口が詐欺師に利用されたのかもしれない・・・そう思うと吐き気を感じる。

 

しかし、麻沙美はもっとショックを受けているだろう。

「こちらこそ、怒鳴ったりしてすみませんでした」

 

「謝ることではないですよ。もし、些細なことでも気になることがあったら遠慮なく言ってください。できる限りのことはしますので」

伴沢は精いっぱいの慰めの言葉をかけるほか、なすすべがない。

 

 

 

 

 

「係長、また余分なことを言ったんですか?もうこの件は一件落着ですよ」

サイテー男がサイテーな言葉を発する。

とにかく気分が悪い。

 

「小澤。とにかく再発防止のためにマニュアル見直しとけよ。返却禁止だからな!」

普段は感情的にならないようにしている伴沢でも、とにかくイライラしてしまう。

「忙しいから無理っス。ほかの暇そうな人に頼んでください」

若くて賢くても、態度がここまで悪いと一生ヒラ職員だな・・・。

 

一方の、女性職員の反応はマチマチだ。

美香は、結婚式の段取りまで男にやらせるのは理解できない、と言い、丸井は、「ありえない!ありえない!!」とめずらしくキレ気味に怒っている。

特に、真面目である故なのか、丸井の怒り方は半端じゃなかった。

 

 

 

一方の伴沢は・・・

「八木さん」

宿直室。

八木は長い夜勤の準備の最中だった。

 

「伴沢さん、どうした?」

「防犯カメラ、見せてください」

 

 

「・・・例の日の件か?」

「そうです、提出したときと回収したときの画像が見たい」

 

「わかった、ちょっと準備するから待ってくれ・・・」

 

 

(つづく)

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