私が以前いた職場では、「複線型人事制度」という名の複数上司制がとられていました。
複線型人事制度・・・総合職とは別に専門職が同じ階級に存在する制度
例えば、課長の横に課長職の「主幹」と呼ばれる人がいる、というような形式です。
(運営の仕方にもよるかもしれませんが)
部下にとっては、「課長」はもちろん「主幹」も上司ということになります。
2人上司に承認を求めるタイムロス
上司が一人であれば、その上司に承認を求めればよいのですが、二人となると、二人とも承認を得なければなりません。
課長にOKをもらっても、主幹が「オレは聞いてない!!!」となれば仕事が止まるのです。
結局、根回しをして、二人とも承認が得られるような妥協点を探らなければならない・・・といった、ムダな時間が必要になってきたり、場合によっては根回し上手の方が仕事が進むので、根回しが評価の対象になる、という訳の分からないことが発生します。
上司の意見が違う
二人の上司の意見が完全に一致することばかりではありません。
とある会議の場で、上司Aが「これはおかしい、やり直せ」と言いだしたとします。
やり直しを命じられた部下は、上司Bに相談。「Aの言っていることはおかしい。オレの言うとおりにしろ」とアドバイスを受けて、その通り仕事を進めました。
しかし、やり直しを命じたのはAですから、Bの指示通りに仕事を進めても納得しません。
A「こんなやり方をしろとは言っていない」
部下「Bさんの指示通りやりました」
B「オレはそんなやり方とはいっていない。理解力のないお前が悪い」
部下「!!!」
BはAの手前、自分の指示したとおりやったと言えないということがあります。
タイムロスな上に、部下のやる気をえぐり取ります。
そもそも、上司がそろわない
別々に承認を得ても、よくひっくり返されるので、二人がそろったときに承認を得よう、と考えることもできます。
しかし、二人とも内勤であればよいですが、どちらかが営業、あるいは現場がある、といった外出が多い職種では、二人が揃うのを待つのもロスタイムです。
責任が分散
決定権を持つのが課長であっても、主幹が反対すれば決められない。または、意見を聞かなければ決められない、ということが発生します。
タイムロスだけでなく、課長が持つ責任が主幹によって軽減されるとう錯覚が発生していると言えます。
どうしても総合職の横に専門職を置くのであれば・・・
あくまで、決定権は総合職(課長)に限定すべきです。専門職(主幹)は専門的な見地から意見を述べるにとどめなければ、組織はスムーズに進みません。
複線型人事は廃止すべきでは?
複線にすることにより
タイムロスが発生しやすくなる
責任の所在があいまいになりやすい
という弊害があきらかで、そこまでして人件費を増やすメリットもありませんね。